アパートローンの金利は、住宅ローンなど他のローンと比べて高いのでしょうか?アパート経営を始める際には、可能な限り低い金利でローンを組みたいものです。本記事では、アパートローンの金利について基礎知識と対策を解説します。
金利の種類や相場、さらに低金利で借りるための方法について詳しく見ていきましょう。
アパートローン金利の基本情報
アパートローン金利のタイプ
アパートの建築費用は高額になるため、多くの場合、金融機関からの借り入れが必要です。自己居住用の住宅ローンは利用できず、アパート経営には一般的に「アパートローン」が利用されます。アパートローンの金利には、主に3つのタイプがあります。
・短期プライムレート基準で変動。
・見直し時期は金融機関による。
・固定金利より低い利率。
・金利下落メリットと金利上昇リスクがある。
・返済額が変動するため計画が立てにくい。
・固定金利適用期間を選択可能。
・固定期間終了後に固定または変動金利を選択できる。
・固定期間中は金利上昇リスク回避。
・固定期間終了後の金利上昇リスクがある。
・繰り上げ返済時に違約金が発生することがある。
・契約時の金利が満期まで固定。
・返済額が一定で計画が立てやすい。
・変動金利や固定金利期間選択型より金利が高い。
・金利下落のメリットがない。
・繰り上げ返済時に違約金が発生することがある。
住宅ローンとの主要な違い
アパートローンは住宅ローンといくつかの点で異なります。以下に主な違いをまとめます。
住宅ローンに比べて高い金利が適用される。
投資用・事業用ローンとしての特性上、高金利。
②借入期間
住宅ローンと同じく最長借入期間は35年以内。
アパートローンは建物の耐用年数が借入期間の上限。
③団体信用生命保険
住宅ローンでは加入必須。
アパートローンでは任意加入。
④保証人
住宅ローンではほとんど不要。
アパートローンでは、連帯保証人が必要になる場合がある。
以上の点を理解して、アパートローンを選ぶ際には慎重に検討しましょう。
アパートローン金利の現状
アパートローン金利の市場比較
アパートローンの金利は、金融機関によって異なります。2023年4月現在の店頭金利を見てみると、次のようになっています。
金融機関 | 変動金利型 | 固定金利型 |
---|---|---|
都市銀行 | 1〜2.5% | 3%台 |
三井住友信託銀行 | 2.575%〜 | 3.3%〜 |
オリックス銀行 | 3.675%〜 | 3.3%〜 |
日本政策金融公庫 | なし | 2%台 |
これらの金利は、借入する本人の属性やアパート物件の評価によって変わることがあります。一般的には、変動金利型で2.5%程度、固定金利型で2〜3%台が相場です。
金利以外の金融機関別の特徴
金融機関ごとに異なるのは金利だけではありません。以下のポイントも重要です。
借入年数の上限
多くの金融機関では、アパートローンの最長借入期間を「建物の耐用年数」としています。一方、地方銀行などでは、会社員向けのアパートローンとして住宅ローンと同様に「35年」としている場合もあります。
団体信用生命保険の加入
アパートローンでは、団信の加入が任意とされている金融機関が多いです。団信に加入しない場合、連帯保証人を求められることがあります。また、団信に加入する際、借入時の年齢によっては借入期間が短くなることがあります。例えば、最終返済時の年齢が満75歳未満と定められていることがあるため、各金融機関の条件をしっかり確認することが必要です。
これらのポイントを踏まえて、金融機関を選ぶ際には金利だけでなく、借入年数や団信の条件も十分に考慮しましょう。
アパートローンを低金利で利用する方法
アパートローンの審査基準の理解
アパートローンを低金利で利用するためには、まず審査基準を理解することが重要です。金融機関が重視する審査項目は以下の通りです。
年収だけでなく、勤務先の規模や勤続年数も評価され、継続的な収入が見込めるかが判断されます。
②資産や借入の状況
所有している不動産などの資産状況が考慮されます。
すでに他のローンを借りている場合、総借入額が融資限度額に影響します。
③自己資金の有無
物件価格の1〜2割の自己資金を用意することが求められます。フルローンやオーバーローンは難しくなっています。
④不動産投資の実績
過去に不動産投資やアパートローンの返済実績があれば、低金利で借りるためのプラス材料になります。
⑤担保物件(アパート)の価値
土地の評価額や建物の価値、さらに家賃収入などの収益性も審査されます。
資産性・収益性の高い物件を選ぶことが低金利につながります。
信頼できる不動産会社の選び方
アパートローンを低金利で利用するためには、信頼できる不動産会社を選ぶことも重要です。実績豊富な不動産会社は複数の金融機関と提携しており、物件の資産性・収益性が一定の基準を満たしているため、金融機関との間で有利な条件を引き出すことができます。
提携不動産会社の物件であれば、金融機関は家賃収入の見込みを立てやすく、物件の審査で有利になります。
複数の金融機関の比較検討
実績豊富な不動産会社を通じて、複数の金融機関の条件を比較することが可能です。営業担当者に複数のローンを比較したい旨を伝え、提携金融機関の詳しい情報を入手しましょう。
他の金融機関の利用も検討し、金利や融資条件を比較して最適なローンを選びます。物件所在地に近い銀行の支店に問い合わせ、店頭金利を比較することも有効です。
アパートローンを利用する際の注意事項
相続税対策を考える場合
アパートローンを利用してアパート経営をする際、相続税対策としてのメリットがあります。相続時にローンが残っている場合、そのローンはマイナス資産として相続財産から控除されるため、相続税の負担が軽減されます。ただし、アパートローンに団体信用生命保険(団信)を付けていると、相続時にローンが完済され、控除のメリットが消失する可能性があります。
相続税対策を重視するなら、団信に加入しない選択肢も検討すると良いでしょう。
確定申告における経費の計上方法
アパート経営では、不動産所得を確定申告する必要があります。この際、ローン返済のうち経費として計上できるのは「金利部分」のみです。元本部分は経費として計上できないため注意が必要です。
金利部分はローン返済予定表などで確認できるので、確定申告時に正確に計上しましょう。これにより、税負担を適切に管理し、経営の安定を図ることができます。
サブリース契約の確認ポイント
アパート経営において、不動産会社とサブリース契約を結ぶことがあります。この契約では、不動産会社がアパートを一括で借り上げ、オーナーに毎月固定の収入を保証する仕組みです。
しかし、契約内容には注意が必要です。特に「契約期間」や「契約内容の見直し時期」の確認は重要です。例えば、サブリース契約が10年で設定されている場合、11年目以降の契約更新や賃料の見直しにより収入が減少するリスクがあります。このような場合でもアパートローンを返済し続けられるか、資金計画やシミュレーションを十分に行いましょう。
アパートローンを利用する際には、相続税対策、確定申告の経費計上、サブリース契約の内容についてしっかりと理解し、注意を払うことが大切です。これにより、安定したアパート経営を実現することができます。
まとめ
アパートローンの借入は大きな金額となるため、慎重な検討が必要です。しかし、金利相場や審査基準などの基本を理解し、ローンに強い不動産会社をパートナーにすることで、資産形成を大きく進めることが可能です。
この記事がアパート経営の成功に役立てば幸いです。